「ありがとう」は不吉な言葉とされることがある
「ありがとう」は、漢字で書くと「有難う」となります。
この「有難う」は、「有り難い」という形容詞の連用形で、「ありがたい」という意味があります。
しかし、「有り難い」という言葉は、もともとは「有るのが難しい」という意味で、「珍しい」「めったにない」というニュアンスがありました。
つまり、「有り難い」ことは、「有るのが難しい」ことであり、「有るのが難しい」ことは、「無いのが普通」であることを暗示しています。
このように、「有り難い」ことは、「無い」ことと対比されることが多く、その結果、「無い」ことは「不幸」であることと結びつけられることがありました。
したがって、「有り難い」ことに感謝するときに「ありがとう」と言うと、「無い」ことや「不幸」なことを連想させる可能性があるということになります。
葬式の場では、故人の死や遺族の悲しみを連想させることは避けるべきですので、「ありがとう」という言葉は不吉な言葉とされることがあるのです。
「ありがとう」は二重敬語となることがある
「ありがとう」は、感謝の気持ちを表す言葉ですが、敬語としても使われます。
例えば、「ありがとうございます」と言うときには、「有り難く存じます」という敬語表現を短縮したものです。
この「有り難く存じます」は、「有り難い」という形容詞に「存じます」という尊敬語を付けたもので、相手に対する敬意を示しています。
しかし、葬式の場では、故人や遺族に対しては「敬語」ではなく「謙譲語」を使うのが一般的です。
謙譲語とは、自分や自分の関係者の行為や状態を控えめに表現する言葉です。
例えば、「お悔やみ申し上げます」と言うときには、「お悔やみ申し上げる」という謙譲語を使っています。
この「申し上げる」という言葉は、「言う」という動詞に「上げる」という謙譲の助動詞を付けたもので、自分の言葉を低く見せています。
このように、葬式の場では、故人や遺族に対しては謙譲語を使うのがマナーですが、「ありがとう」という言葉は敬語ですので、謙譲語と敬語を混ぜて使うことになります。
これは、二重敬語と呼ばれる文法的に正しくない表現になります。
二重敬語は、言葉の使い方が不自然で、相手に失礼にあたることがあります。
葬式の場では、故人や遺族に対しては「ありがとう」という言葉は二重敬語となることがあるので、避けるべきです。
「ありがとう」は代わりに使える言葉がある
「ありがとう」は、葬式の場では不吉な言葉や二重敬語となることがあるので、言わないほうがよいとされていますが、それでは感謝の気持ちをどう表すべきでしょうか?
実は、「ありがとう」の代わりに使える言葉があります。以下に、いくつかの例を紹介します。
- 「恐れ入ります」
- 「痛み入ります」
- 「お気遣いいただきまして」
- 「お心遣いいただきまして」
- 「お心付けいただきまして」
これらの言葉は、「ありがとう」と同じく感謝の気持ちを表す言葉ですが、謙譲語や敬意を含んだ言葉ですので、葬式の場では適切です。
また、「いただきまして」の部分は、「いただきました」と過去形にすることもできます。
これらの言葉は、香典や香典返し、会葬礼などを受け取ったときに使うことができます。
まとめ
この記事では、葬式で「ありがとう」は言わない理由と、代わりに使える言葉を解説しました。
これらを理解することで、遺族に配慮した適切な言葉を選ぶことができるでしょう。
「ありがとう」は、普段は感謝の気持ちを表す言葉ですが、葬式の場では不吉な言葉や二重敬語となることがあるので、言わないほうがよいとされています。
代わりに、「恐れ入ります」「痛み入ります」「お気遣いいただきまして」などの言葉を使うと、故人や遺族に対して謙譲語や敬意を示すことができます。
